高校野球感動秘話 甲子園「記憶を失ったエース」の物語

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1989年4月5日、センバツ決勝「上宮対東邦」
悲劇のピッチャーは、その試合のことを覚えていない

史上最大の悲劇と言われた'89年のセンバツ決勝。十回裏2死、目前で優勝を逃したエースは、その後も数奇な野球人生をたどった。『失われた甲子園』(講談社刊)を上梓した著者が描くエースのそれから。

取材・文 赤坂英一(ライター)

後頭部をライナーが直撃

 福岡ソフトバンクホークスの試合が始まる前、チームのジャージに身を包み、グラウンドで練習を手伝っている小柄な男がいる。コーチがノックをしている傍らで野手の返球を受けたり、投手のキャッチボールの相手をしたり。彼が投げる球は小柄な身体の割に独特の伸びがあり、元選手だったのかなと感じさせるが、その名前を知るファンはほとんどいない。



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