大反響連載!国税は見ていた 最終話 国税庁vs.大物OB ニューマネーを巡る攻防は続く

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海外に逃れた企業や富裕層を追ってきた国税庁OBが国際税務の知識を活かして続々と外資系税理士事務所に転職している。国際化が、かつての追う者と追われる者の立場を混沌とさせていた―。

清武英利 (ジャーナリスト)

大蔵官僚たちの報復

 財務省にまだ大蔵省の看板が掛けられていたころ、省内で官僚たちが軽く飲んでいた。

 年の瀬が迫っていた。国会答弁の相談があって、他の部局の幹部職員が少し酔いの回った官僚の部屋を訪れた。その顔を見て官僚は罵声を浴びせた。

「お前だな! あの時(俺の仲間を)いじめた奴だ!」

 そして手にしたコップ酒をその幹部の顔にパッとかけた。同僚たちによると、座は一瞬にして静まり返ったという。そして、「あの時のことをまだ根に持っている官僚がいるんだ」という話が省内に広がった。

 酒をかけられたのは、羽床(はゆか)正秀。国税庁の元広報課長である。



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