忘れられない恩師の言葉

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仰げば尊し

桜が咲く時期になると、きまって胸をよぎるあの人の優しさ

自分の人生を変えるきっかけになった一言、人生を決定づけた言葉を覚えていますか。学校の先生。スポーツの指導者。親。上司――いまのあなたがいるのは、あの時、恩師に出会えたからなんです。

【1】
谷川浩司(棋士)
名人位を失っていわれた
「よかったな」の一言

 短いけれども、とても重くて意味のある言葉をくださった恩師がいます。中学校の時の担任だった、朝田勲先生です。

 私は小学校5年生の時に奨励会(プロ棋士を養成する機関)に入りました。いまでこそ奨励会の例会(奨励会に所属する会員同士が対局し、プロを目指し腕を磨き合う会)は土日に行われますが、当時は平日に行われていました。だから、小学生の時から学校を休まなければならないことが多かったのです。そこで中学校に進学する際には「私立のほうが将棋の活動で休むことへの理解も得られるだろう」という両親の薦めもあり、神戸市の私立滝川中学校へ入学しました。



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