あの日のごちそうさま 新連載 2皿目 小山薫堂さん
連載 | 2024.01.16 |
友に再建を託したまぁるいたい焼き
尾がない劣等感
天草の実家から歩いて数分の距離に『まるきん』と呼んでいたお店があって、そこのたい焼きの形がまん丸だったんです。保育園のころからおやつといえばこれで、毎日のように食べていました。ただ、このたい焼きは人生で初めて自分が「田舎者」であることを実感した物で、大ヒットした『およげ!たいやきくん』という歌に出てくるたい焼きには尻尾がついている。小学生の僕は、丸いたい焼きしかない地元が世の中においていかれているような感覚を持ったんです。「頭から食べるか、尻尾から食べるか」というよくある論争がうらやましかった。
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