[最終回]興銀秘史 カネの匂いがした時代

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バブル崩壊と日本興業銀行「終わりの始まり」

バブル景気とともに頭角を現したのが、"天才詐欺師"尾上縫だ。しかし、景気悪化によって預金証書を偽造。日本興業銀行はニセの証書を見抜けず融資を繰り返す――。興銀の負の歴史を明かそう。

取材・文/
ノンフィクション作家
森 功

史上最高額の巨額詐欺事件

 バブル景気が吹っ飛んだ1991(平成3)年、日本の金融界は大荒れに荒れた。衆院ではこの年の8月29日と30日の2日にわたり、「証券・金融特別委員会」の喚問が行われ、産業界は国会に釘付けになった。空前の金融不祥事に対する国会追及は、前日の証券スキャンダルに続き、30日、銀行界にその舞台を移す。前代未聞の金融国会で参考人招致された一人が、日本興業銀行頭取の黒澤洋である。



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