[連載第8回]興銀秘史 カネの匂いがした時代

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田中角栄の凋落と
バブル経済前夜

金権政治の弾劾を受け「影の総理」と呼ばれた角栄も没落していく――。同じ頃、興銀は変化の波にさらされていた。日本がバブル経済へと向かう直前に、同行はメキシコにホテルを建設しようとする。

取材・文/ノンフィクション作家
森 功

竹下登の裏切り

 米大手航空機メーカーが日本の首相に賄賂を贈ったロッキード汚職が明るみになったのは、1976(昭和51)年2月のことだ。田中角栄はすでに'74年10月に発売された『文藝春秋』11月号の「田中角栄研究―その金脈と人脈」(立花隆著)により、首相を退いていた。そこへ戦後最大の汚職事件が、追い打ちをかけたかっこうである。



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