[連載第5回]興銀秘史 カネの匂いがした時代

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石油取引のウラで何が起きていたのか?
中山素平と「和製メジャー」の夢

"財界の鞍馬天狗"の異名を持つ興銀の中山素平。彼がアブダビのアドマ油田を獲得するまでの裏話がいま明かされる。伝説のバンカーが頼りにしたのは、政財界の大物フィクサー・田中清玄であった。

取材・文/
ノンフィクション作家
森 功

ソッペイさんの怪気炎

 士ハ己ヲ知ル者ノタメ二死ス――。

 稀代のフィクサー田中清玄が、日本興業銀行の中山素平のために贈った賛辞だ。士は田中自身を指し、中山のためなら死んでもいい、と最高の評価をしている。中山は、右翼結社「血盟団」のメンバーだった四元義隆を介して田中を知ったと前号に書いた。交友を深めたのは、終戦間もない時期である。



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