[連載第4回]興銀秘史 カネの匂いがした時代

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高度経済成長を支えたカラクリ
国際的フィクサー 田中清玄と「石油利権」

この男ほどスケールの大きなフィクサーは他にはいない――それが田中清玄だ。アラブの王様と渡り合い、戦争を止めてアブダビの石油利権を手に入れる。いったいどんな人物なのか。詳(つまび)らかにしよう。

取材・文/
ノンフィクション作家
森 功

アラブの王様と単独交渉

 日本で初めて中東・ペルシャ湾岸の油田開発に挑んだアラビア石油(通称アラ石)は、日の丸油田と持ち上げられた。創設者は「アラビア太郎」の異名をとった山下太郎だ。会社の設立発起人懇談会が1957(昭和32)年5月21日、東京・丸の内の東京會舘で華々しく開かれた。



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