ネットで盛り上がる「良いナチス」論の危うさ

[ptitle]
こうして歴史は捻じ曲げられる

「大虐殺を実行したナチスだが、一方で良いこともした」――公平な主張と思うかもしれないが、実はここには"危うさ"が潜んでいる。「良い」とされるナチスの行いは、本当に良いものだったのか。

ナチスは景気を良くしたか

 劣等人種の烙印を押され、収容所で過酷な労働に従事させられた挙げ句、惨(むご)たらしく殺される――ナチスによるユダヤ人の迫害と殺戮、いわゆる「ホロコースト」によって、'33年から'45年までに600万人あまりが犠牲になった。この惨劇を引き起こしたナチ党の指導者アドルフ・ヒトラーは「悪の権化」とされ、ナチスの所業は二度と繰り返してはいけない負の歴史として記憶されてきた。



会員の方は