ウクライナ・レポート「53歳・大学勤めの私に、召集令状が届いた日」

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これが戦争のゲンジツです

ある日、勤務先で突然手渡された「召集令状」。愛国心は人一倍ある。しかし一方で、なぜ自分がという気持ちも……。53歳、人生の後半に出征を命じられた、あるウクライナ人エリートの葛藤の記録。

ノンフィクションライター
水谷竹秀

戦地から届いたLINE

 領土奪還を目指すウクライナ軍が、ロシアへの反転攻勢を始めた今年6月のことだった。

「ご連絡ありがとうございます。4月21日からウクライナ軍にいます」

 LINEで久しぶりに近況を尋ねた私に、達者な日本語で返信してくれたのは、ウクライナ人男性のイゴル・ゾリーさん(53歳)だ。リビウ国立工科大学にあるウクライナ日本センターの所長を務め、学生たちに日本語を教えるのが本業のはずだが、どういうわけか、徴兵されていた。メッセージはこう続く。



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