なぜ人間だけに「老後」があるのか?

[ptitle]
週現教養スペシャル

東大の生物学教授が辿り着いた結論

「五十にして天命を知る。六十にして耳順(したが)う」――人は老いてこそ、より広い視座に立って公平な判断を下せるという。最新研究によって判明した人間の「老後」が持つ意義を、気鋭の生物学者に訊いた。

東京大学教授
小林武彦

ヒトの本当の寿命は55歳

 高齢者を侮辱する「老害」という言葉をよく聞くようになりました。「老いた人=害悪」という印象を与えるもので、私はまったく好きではありません。老いることには生物学的な意義があり、社会全体がその恩恵を受けている――そう考えるからです。なぜ人は老いるのか、その理由を解き明かしていきましょう。



会員の方は