池袋の一室から中国の工場に丸投げされた「日本人500万人のマイナンバーと年収情報」のゆくえ

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連続追及
スクープ
第2弾

マイナンバーと年収情報が中国に大量流出した――日本年金機構に関わる委員を歴任し、この問題で検証委員も務めた筆者が、決死の覚悟で「虚構のストーリー」と「欺瞞の論理」を明らかにする。

岩瀬達哉
ジャーナリスト


《事件の概要》 2017年の大幅な税制改正を受け日本年金機構は、厚生年金から所得税などを源泉徴収する「税額計算プログラム」を作成し直す必要があった。約770万人の厚生年金受給者に「扶養親族等申告書」を送付。記載内容に漏れや間違いがないかをチェックしてもらうとともに、あらたにマイナンバーや所得情報を記入し、送り返すよう要請。送り返されてきた「申告書」をデータ入力することでプログラム化をはかることとした。機構はその入力業務を、東京・池袋のデータ処理会社、SAY企画に委託したものの、同社が中国大連市のデータ処理会社に再委託したため、そこから日本の厚生年金受給者の個人情報が、中国のネット上に流出した。

流出後に急増した数字

「どこに迷惑かけてるの? その後、何も出てきてないでしょう。これまで新しい情報の流出はないわけだから――」

 6月18日に日本年金機構の水島藤一郎理事長を自宅に訪ねると、玄関先でこう嘯(うそぶ)いた。



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