会う食べる飲む、また楽しからずや 第四百九十七回 中川淳一郎さんの巻

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思いがけない唐津への移住。
酒がつなぐ人との縁。
遠方より来る友と
今宵も杯を傾ければ
時間の流れは矢のごとし
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絵/大崎吉之
「ちくわの磯辺揚」
青海苔の風味が口に広がる。
揚げたてにビールと合わせて、
仕事の疲れを夜の闇に溶かす

○月×日

 '20年11月、ひょんなことから夫婦で佐賀県唐津市に移住することになった。私は長らく東京でネットニュース編集者として働いてきたが、以前から47歳を機にセミリタイアを考えていた。当初はアメリカに行く計画だったものの、長引くコロナ騒動のため予定を変更。知り合いのライターのすすめで、唐津で暮らすことに。しかし、私も妻も唐津には縁もゆかりもなく、親戚がいるわけでもない。地元の人とどうやって関係を作るのか。これが最大の課題だった。



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