看取り専門医が我が子を看取った日

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4000人の患者を見送ってきたのに、
私は何も分かっていなかったのです――

葛藤と哀しみの果て

医師は患者に対し、冷静に接しなければいけない。だが、もし自分の家族が患者になった時、それはできるのか。在宅医の第一人者が直面したのは、肺がんに侵され、死へ向かう我が子の看取りだった。

抑えられなかった涙

「肺がん、しかも手術ができない段階と息子から聞かされた時は、涙がとめどなく流れてきました。

 息子はまだ43歳で、子供も小学生と幼稚園児なのにどうしてと、置かれた状況を恨むしかできませんでした」

 こう語るのは、神戸市の在宅ホスピス「関本クリニック」理事長で医師の関本雅子さん(72歳)だ。彼女は在宅医として、これまで4000人以上の患者を看取っている。



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