[特別読み物]1984年 落合博満と稲尾和久 奇跡の師弟愛について

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世をすねた孤高の天才は、
たった一人の「神様」に心を開いた

自分のすべてを認め、包んでくれる上司に出会える確率は、どれくらいだろうか。その点、この男は幸せだった。ベンチに並んで座り、夜は酒を片手に野球談義を交わす。理想の監督が現れたのだ。

一匹狼が泣きぬれた日

 プロ野球には、その年の球界にもっとも貢献した人物に贈られる正力松太郎賞という栄誉がある。

 王貞治、衣笠祥雄、長嶋茂雄、星野仙一……。歴代の受賞者たちは、晴れ晴れとした表情で、受賞会見に臨んできた。



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