講談社 本田靖春ノンフィクション賞 発表と選評

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令和3年度(第43回)
講談社 本田靖春ノンフィクション賞
受賞作品

今回の受賞作は、ルポルタージュ、伝記、体験記などのノンフィクション作品で、単行本、新聞、雑誌などに'20年4月1日より'21年3月末日までに発表されたものから選ばれました。選考委員は魚住昭、後藤正治、最相葉月、中沢新一の4氏です。候補作品は受賞2作品を含め、石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋)、大西康之『起業の天才! 江副浩正8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)、細田昌志『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』(新潮社)、牧村康正『ヤクザと過激派が棲む街』(講談社)、村山祐介『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』(新潮社)の5作品でした。

受賞作品

沢村忠に真空を飛ばせた男
昭和のプロモーター・野口修 評伝
(新潮社)
細田昌志

細田氏
受賞のことば

「いつになったら本になるんだい。ええっ?」

 拙著の主人公である野口修が語気を強めて迫った。'15年の晩秋のことである。

 取材を始めたのが'10年。実は版元の決まっていない見切り発車だった。「出版社くらいすぐ決まるだろう」と高を括っていたが一向に進展しなかった。理由は明白である。筆者がさしたる実績のない無名の書き手であり、主人公の野口修も世間から忘れ去られた老興行師。早い話「引きが弱い」と思われたのだ。



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