[特別読み物]ヤクルト・大杉勝男が日本一になった昭和53年の追憶

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「月に向かって打て」で
開眼した天才右打者

類まれなる打撃センスで数々の記録を打ち立てた大打者が、誰よりも闘志を剝き出しにし、誰よりも輝いた年があった。男がここ一番の大舞台で描いた美しい放物線は、今も人々の記憶に残り続ける。

空に掬い上げる

 プロ野球史上に残る名言といえば数多くあるが、その中でも最も有名な言葉のひとつだろう。

「月に向かって打て」

 この名言にまつわる物語の主役が、大杉勝男である。大杉が最も輝き、まさしく天に向かって白球を打ち放って大活躍したのが、1978(昭和53)年だった。



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