[経済ドキュメント]「半導体」の呪い この夏、自動車を作れないかもしれない

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日本の最後の生命線が、
崩れ落ちようとしている

半導体大国と言われたのも、今は昔。デジタル化で世界的に需要が急増しているにもかかわらず、日本の半導体生産能力は限りなく低い。各国がしのぎを削る半導体戦争で、生き残ることはできるか?

大西康之(ジャーナリスト)

新しい「アキレス腱」

 今年の夏、日本で自動車が作れない緊急事態が発生するかもしれない。

 車載半導体の国内最大の生産拠点であるルネサスエレクトロニクスの那珂工場(茨城県ひたちなか市)で3月19日に発生した火災が原因だ。「国産がダメなら輸入すればいい」というわけにもいかない。効率をとことん突き詰めた世界の半導体サプライチェーン(供給網)は、今や些細なことで供給が滞るほど余裕を失っている。世界中の企業が半導体を奪い合う中、日本経済は半導体不足という新たなアキレス腱を抱えつつある。



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