[本格ノンフィクション連載]ゼットの人びと 第13回 スター技術者の系譜
社会 | 2021.03.29 |
トヨタ「特命エンジニア」の肖像
いかに「Z」がトップ技術者集団といえども、そこに名を連ねるだけでは車作りの真髄はわからない。トヨタの長い歴史で数々の名車を手がけた先達たちは、その知恵とセンスをいかに磨いてきたのか。
清武英利(ノンフィクション作家)
いかに「Z」がトップ技術者集団といえども、そこに名を連ねるだけでは車作りの真髄はわからない。トヨタの長い歴史で数々の名車を手がけた先達たちは、その知恵とセンスをいかに磨いてきたのか。
清武英利(ノンフィクション作家)
前回までのあらすじ/トヨタの中枢部署「Z」でチーフエンジニアを務める多田哲哉は'07年1月、スポーツカー開発の特命を言い渡された。名車「ハチロク」の系譜を引くクルマの開発に乗り出した多田は、共同開発相手である富士重工(現・スバル)との激論、マツダのエンジニア・貴島孝雄との邂逅を経て、進むべき道を見出す。
「田舎者」からの脱却
Z(ゼット)チームの技術者の間で、それは「CEスター計画」と呼ばれていた。
トヨタ自動車の技術管理部と営業が相談して、チーフエンジニア(CE)をもっと目立つ、スターのような存在として打ち出そうというのだった。彼らはチーフエンジニアたちに、「これからは新車発表の際にスタイリストたちを付けるから、洒落た服を着て、格好良く記者会見をやってほしい」と告げていた。
トヨタ自動車の技術管理部と営業が相談して、チーフエンジニア(CE)をもっと目立つ、スターのような存在として打ち出そうというのだった。彼らはチーフエンジニアたちに、「これからは新車発表の際にスタイリストたちを付けるから、洒落た服を着て、格好良く記者会見をやってほしい」と告げていた。
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