[本格ノンフィクション連載]ゼットの人びと 第6回 「そんな車、トヨタには作れない」
社会 | 2021.01.18 |
トヨタ「特命エンジニア」の肖像
「スポーツカー復活」に向けて第一歩を踏み出した、はみ出し者の技術者たち。しかし、行く手には無数の壁が立ちはだかる。そして周りの誰もが、彼らの夢は夢のままで終わると思っていた。
清武英利(ノンフィクション作家)
「スポーツカー復活」に向けて第一歩を踏み出した、はみ出し者の技術者たち。しかし、行く手には無数の壁が立ちはだかる。そして周りの誰もが、彼らの夢は夢のままで終わると思っていた。
清武英利(ノンフィクション作家)
前回までのあらすじ/トヨタの中枢部署「Z」でチーフエンジニアを務める多田哲哉は'07年、長年途切れていたスポーツカー開発の特命を言い渡された。その背景には、トヨタとスバルの提携話があった。多田は同じく無類のスポーツカー好きでシャシー設計部主任の後輩・今井孝範とともに、たった二人の新部署を立ち上げる。
会議につぐ会議
「常に大勢集めての会議を控える。会議中は仕事が停まっていると思え」
Zのチーフエンジニアたちにそう諭したのは、トヨタの技術系副社長だった和田明広である。彼の役員時代に、幹部技術者の心構えとして残した十ヵ条の一つだが、和田のようなエンジニアのヌシがそう唱えても、大会議の数は減らなかった。
Zのチーフエンジニアたちにそう諭したのは、トヨタの技術系副社長だった和田明広である。彼の役員時代に、幹部技術者の心構えとして残した十ヵ条の一つだが、和田のようなエンジニアのヌシがそう唱えても、大会議の数は減らなかった。
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