[新連載 本格ノンフィクション]ゼットの人びと 第3回 役員会議で下された「異例の決断」
社会 | 2020.12.14 |
トヨタ「特命エンジニア」の肖像
「伝説のスポーツカー」復活に立ち上がった男たち
ミニバンならスポーツカーの何倍も売れるぞ。クルマ好きのトヨタ技術者たちは長年、上司にそう言い聞かされて頭を押さえつけられてきた。それがある会議を境に一変する。いったい何が起きたのか。
清武英利(ノンフィクション作家)
「伝説のスポーツカー」復活に立ち上がった男たち
ミニバンならスポーツカーの何倍も売れるぞ。クルマ好きのトヨタ技術者たちは長年、上司にそう言い聞かされて頭を押さえつけられてきた。それがある会議を境に一変する。いったい何が起きたのか。
清武英利(ノンフィクション作家)
前回までのあらすじ/トヨタに中途入社したエンジニア・多田哲哉は、製品企画を担う部署「Z」でチーフエンジニアとしてヒット商品を連発する一方、仕事に面白みを感じられず憔悴していた。そんな中、多田に突然「スポーツカーを作れ」という指令が下る。戸惑いつつも喜びに浸る彼を、妻の浩美はホッとする思いで見つめていた。
親子二代でトヨタの男
勢い込んでシャシー設計部に入ってきた長身の男を見て、主査の佐々木良典(よしのり)(四七)は意外に思った。チーフエンジニア・多田哲哉の溶けそうな笑顔がそこにあった。このところ、「つまらん、つまらん」と言っていた二つ年上の先輩である。
会員の方は