ときどき、ふと逸見政孝さんのことを考える

[ptitle]
新シリーズ
月日は流れて

明るく、楽しい人は48歳で美しく逝った

「イッツミー、それは私です」。このフレーズを聞けば、たちまち逸見さんの人懐っこい笑顔が蘇ってくる。真っ正直でユーモアがあって凛とした人。こんなアナウンサーはもう現れないかもしれない。

画面から人柄が伝わる

「私にとって父は、いくつもの表情を持った人でした。

 テレビに映る父は、とても楽しそうでした。特にフリーに転向してからは、嬉々として仕事場に向かっていたのを覚えています。局アナ時代は七三分けに黒縁メガネをかけ、四角四面を絵に描いたような外見でしたから。フリーになってから自由にやっているなと、傍(そば)で感じていました。中でも北野武さんと共演していた『たけし・逸見の平成教育委員会』(フジテレビ系)は、父にとって大切な番組でした。包容力があって軽妙な北野さんのことが、大好きだったみたいです。

 その一方で、家にいるときの父はまた違う顔でした。普段の父はむしろ寡黙で、『メシ、風呂、寝る』くらいしか口にしないんです。それでも家族を気にかけ、大事にしてくれていたのはひしひしと伝わっていました」



会員の方は