なりもの ヤフー・井上雅博伝 第17回 信じて、任せよ/森 功

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大型連載
祖師谷団地が生んだインターネットの天才

業績と社員数は右肩上がりに増え、株価は一億円を突破。日本を代表するIT企業へと成長しつつあったヤフーだったが、大きな壁にぶち当たる。孫正義の肝煎りで始まった「ヤフーBB」事業だ。

森 功(ノンフィクション作家)

前回まで/世田谷の団地で生まれた、事実上のヤフー・ジャパン創業社長の井上雅博。井上が集め、育てた人材の力と、ITバブルの波に乗り、ヤフーは2000年1月に株価1億円を突破。社内には億万長者が続出した。

孫正義も黙認

 今さら念を押すまでもないが、ヤフー・ジャパンは、ソフトバンク社長の孫正義が、米国で始まったインターネットの会社をそっくり日本で再現しようとした会社である。ただし当の孫はヤフー日本法人の設立以降、業務にタッチせず、会議などにも参加しない。ソフトバンクの社長室長だった井上雅博にすべてを任せた。その孫がとつぜんヤフーの幹部たちと連絡をとり、業務に口を出すようになる。それが、ヤフーBBを始めようとした二〇〇〇年頃のことである。



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