東京土地物語 第10回 千代田区・番町 日本テレビが買い漁る山の手の「お屋敷街」を歩く

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欲望と記憶が刻まれて

名門・女子学院も巻き込んで大騒動

徳川家の旗本が住んでいた番町は、日テレのお膝元でもあった。本社を汐留に移転してから15年、その日テレが再開発で超高層ビルを建てるという。推進派と反対派に割れた近隣住民の議論は平行線だ。

平井康章(ノンフィクションライター)

1万㎡超の大プロジェクト

 千代田区・番町(ばんちょう)には江戸時代、徳川家将軍を警護する旗本「大番組」の屋敷が立ち並んでいた。その名残で、一番町から六番町までに分けられ、「◯丁目」にあたる住居表示がない、都内でも珍しいエリアになっている。

 明治以降は武者小路実篤や与謝野鉄幹・晶子夫妻ら文人が暮らし、文教地区としての街づくりが進んだ。あまり馴染みはないかもしれないが、現在も山の手で指折りの高級住宅街であり、政財界の大物が数多く居住する。



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