東京土地物語 第6回 田園調布 家主を失ったお屋敷たち

[ptitle]
欲望と記憶が刻まれて

高級住宅街の代名詞、なのに
買い手がつかない土地があちこちに

庶民の憧れだった田園調布にも、「空き家問題」の波が押し寄せている。高すぎる相続税、大きすぎて売れない土地、進む高齢化――。この街の再興を阻むのは、他ならぬ住民が決めた街の自治ルールだった。

平井康章(ノンフィクションライター)

5年前から「空き地」のまま

 東京を代表する高級住宅地・田園調布。

 駅の西側に放射状に伸びる道路を歩いてゆくと、コンクリート打ち放しのモダンな建物や、数寄屋造りの日本家屋など、贅をつくした豪邸が次々と目に飛び込んでくる。



会員の方は