なりもの ヤフー・井上雅博伝 第11回 武器を磨け、肩書に頼るな/森 功

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大型連載
祖師谷団地が生んだインターネットの天才

ITベンチャー「ソード」に在籍していた「なりもの」の人生は、ある男との出会いで一変する。若き日の孫正義だ。ソードでの経験と、ある才能で井上は、孫の右腕へと瞬く間に登り詰めていく。

森 功(ノンフィクション作家)

前回まで/世田谷・祖師谷団地で生まれた、事実上のヤフージャパン創業社長・井上雅博。井上は新卒で入ったIT企業「ソード」を経て、ソフトバンクグループの「ソフトバンク総研」に入社しようとしていた。

「いっしょにやらないか」

「浅川、お前もやってみないか」

 井上雅博は後輩の浅川倫之と久方ぶりに会うと、そんな話を切り出した。二人は東芝の傘下に入ったソードを退社し、浅川は郷里の北海道に戻り、井上はソフトバンク総研への転職が決まる。その少し前のことである。



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