東京土地物語 連載第3回 神楽坂 角栄の妾が住んだ花街が高級住宅とチェーン店の街に変わるまで

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大反響!
欲望と記憶が刻まれて

立派な一軒家や老舗飲食店が密集する神楽坂。だが近年、メイン通りには安価なチェーン店が増加している。由緒あるこの地も、バブル崩壊や昨今の地価上昇の余波を大きく受けていたのだ。

平井康章(ノンフィクションライター)

「人士」の集まる土地

 夕暮れ時。柳結びの帯をなまめかしく揺らしながら、石畳の上を足早に歩く芸者衆――。

 昭和の時代のサラリーマンなら、神楽坂と聞いてそんな光景を思い浮かべ、「いつかオレも、お座敷遊びができるくらい出世したいものだ」と考えたことがあるだろう。



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