俳優・新井浩文という物語

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再起不能、しかしその才能は確かに優れていた

青森で育ち、在日コリアンの出自に悩み続けた学生時代。
ふてぶてしい顔、つかの間の成功、そして転落。
手のひらを返したかのような悪罵のなか、
保釈後の住まいを用意して待ってくれた俳優仲間もいる。
いったい彼は何者なのか

「演じることしか考えていない」。かつて、雑誌のインタビューでこう語るほど、演技に人生のすべてを賭けていた男は、自らの過ちによって、その道を閉ざしてしまった。あの演技はもう、見られない。

青森の祖母が語る

 2月27日の午後9時過ぎ、保釈が認められた俳優・新井浩文(本名・朴慶培(パクキョンベ)、40歳)を乗せた黒のワンボックスカーが、警視庁本部から滑り出した。

 押しかけた報道陣のフラッシュに照らされた車内の新井は、終始うなだれ、ぼんやりとした目で一点を見つめている。名脇役として大きな武器だったふてぶてしい表情が、いまはただ、うつろに映る。



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