老人ホームに「入れる」「入る」決断を考える

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何を失って、何を得るのか

家に住み続けたいという「親の願い」をとるか、子である「自分の生活」の安寧をとり、老人ホームに入ってもらうか。難題だが、決めねば手遅れになる。因果は巡り、やがて自分も「入る」時が来る。

「もう限界でしょう」

 都内に住む会社員・高橋和洋氏(62歳・仮名)が異変に気づいたのは、2年前のことだった。

「同居する84歳になる父は、早朝、新聞をポストまで取りに行くのが日課でした。しかし一通り読んだ父が、またポストに新聞を取りに行っている。友人との待ち合わせを忘れ、何時間も待った相手から電話がかかってくる。明らかにおかしいと思い、近くの病院の『もの忘れ外来』に連れて行きました」(高橋氏)



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