トッカイ――バブルの「しんがり」たち 第12回 銀行を捨てた「特命班長」の覚悟
社会 | 2018.08.02 |
闇に溶けたカネを回収する男たちの闘いを描く
話題沸騰のヒューマン・ノンフィクション連載
バブル崩壊後も、日本社会においては銀行ブランドの威光は健在で、住管機構へ出向した銀行員たちの胸中は複雑だった。だが、あえて原籍を捨て、トッカイでの債権回収に賭けた男たちがいる。
清武英利(ノンフィクション作家)
話題沸騰のヒューマン・ノンフィクション連載
バブル崩壊後も、日本社会においては銀行ブランドの威光は健在で、住管機構へ出向した銀行員たちの胸中は複雑だった。だが、あえて原籍を捨て、トッカイでの債権回収に賭けた男たちがいる。
清武英利(ノンフィクション作家)
前回まで/旧住専や銀行などから借りたまま、隠匿されている資金の「追跡」を続けるのが、「整理回収機構」特別回収部、通称トッカイだ。男たちは、中坊公平社長の直轄組織として、大口・悪質不良債権の回収を行っていた。
平然と嘘をつく人々
転職の話を妻にするのは、それが二度目だった。
「僕な、やっぱり整理回収機構に行きたいんや」
遅い夕食の片づけに立ったときを見計らって、津田敏夫が声をかけると、美樹(みき)は泣き出した。
「僕な、やっぱり整理回収機構に行きたいんや」
遅い夕食の片づけに立ったときを見計らって、津田敏夫が声をかけると、美樹(みき)は泣き出した。
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