トッカイ――バブルの「しんがり」たち 第7回 「借金王」末野興産との対決

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闇に溶けたカネを回収する男たちの闘いを描く
話題沸騰のヒューマン・ノンフィクション連載

住専の大口貸出先で、「バブル紳士」の象徴ともいわれた借金王・末野謙一。旧住専で、末野に150億円ものカネを貸し付けた男は、住専破綻後、トッカイ「班長」に就任し、債権回収の前線に立つ。

清武英利(ノンフィクション作家)

前回まで/旧住専や銀行などから借りたまま、隠匿されている資金の「追跡」を続けるのが、トッカイ(トクセイから改称)だ。大阪の社長直轄組織に集った彼らは、大口・悪質の不良債権を専門に、回収を開始した。

8人の班員を率いて

 特別整理部第3班の池田等(ひとし)は、社内の有名人であった。住宅金融債権管理機構(住管機構)でも、それ以前に勤めた住宅金融専門会社(住専)の業界でもそうだった。

 度の強そうな丸い眼鏡に、彼はたいてい穏やかな微笑を浮かべている。酒は一滴も飲めない。それでいて、「ヤクザに強い」と言われていた。


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