連載 トッカイ――バブルの「しんがり」たち 第4回 入手!「証言録」に刻まれた悪戦の記憶

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闇に溶けたカネを回収するため、
特命を帯びた男たちの闘いを描く
話題沸騰のヒューマン・ノンフィクション

「ジューセン・プロブレム」は、国際的な流行語となっていた。6850億円もの公的資金の投入が決まると、住専への強制捜査が始まる。'96年4月10日の朝こそ、男たちの運命を転換させた日だった。

清武英利(ノンフィクション作家)

前回まで/旧住専(住宅金融専門会社)や銀行などから借りたまま、隠匿されている資金の「追跡」を続けるのが、トッカイだ。住専社員だった林正寛は、'96年、住管機構に再雇用され、トッカイへの辞令を受け取る。

記録が部外秘とされた理由

 約20年に及ぶ回収妨害との闘いと苦楽を綴った証言録が、東京・丸の内3丁目の整理回収機構本社に眠っている。

 計92人の社員や顧問弁護士が寄稿し、前身の住宅金融債権管理機構(住管機構)の設立から20年を迎えた一昨年10月、回収機構総務人事部によってまとめられた。



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