[連載]裁判官よ、あなたに人が裁けるか・第二部 第3回 有罪判決をひっくり返した勇気ある裁判官の告白/岩瀬達哉

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「徳島ラジオ商殺し」で冤罪を主張

かつて、裁判所が「冤罪」を作り出したことがあった。検察と連携し、無実の女性の人生を奪ったのだ。その有罪を覆し、再審を決めた元裁判官が初めて明かす、裁判所が犯した「過ち」の全貌――。

岩瀬達哉(ジャーナリスト)

有罪のまま亡くなった女性

 1980年代は、日本の裁判所が厳しい批判にさらされた時代であった。

「再審無罪ラッシュ」と言われるほど、死刑確定囚や重罪で獄に繋がれていた人達への無罪判決が相次いだからだ。裏を返せば、それまで無辜(むこ)の民を罰し続けていたことになる。



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