[インサイドレポート]製薬会社が次々と撤退 「認知症の薬」は作れない

[ptitle]
25年の歳月、数千億円の研究費を投じてきたが、すべて失敗

莫大な資本を抱える、世界的な大手の製薬会社が、認知症の治療薬の実験に、次々と失敗している。この病気には、薬で簡単に治療できない特殊な性質がある――そんな事実が明らかになってきた。

乗り越えられない「壁」

「いまや認知症の患者は世界で4680万人。彼らは私たちの実験の成功を待っていました。だから、昨年の実験でいい結果が得られなかったことには、研究者、経営陣ともに、肩を落としました。会社としてもこの薬の開発を非常に重視してきましたから。イーライリリーはこれまで25年以上、認知症の研究を行ってきました。投資してきた額は、30億㌦(現在のレートで約3300億円)にも及びます」

 米イーライリリー・アンド・カンパニー(以下、リリー社)で認知症薬「ソラネズマブ」の研究を行ってきた、代表メディカル・フェローのエリック・シーマース氏は、本誌の取材にこう語る。



会員の方は