[大型連載]裁判官よ、あなたに人が裁けるか 第6回 なぜ裁判官は政府に逆らえなくなったのか 岩瀬達哉

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大反響連載
「伝説の 裁判官」が実名で語る

かつて上司からの「圧力」を新聞にリークしてパージされた

裁判所というもっとも閉鎖的な空間で起きた出来事を、新聞社にリークする――そんな行動が許されるわけはなかった。自身の出世と引き替えにそれをやった裁判官が、50年越しに真相を語る。

「僕は出世できないのか」

 第15代最高裁長官を務めた町田顯(あきら)は、2004年10月、裁判官として採用された新任判事補への辞令交付式の挨拶でこう述べた。「上級審の動向や裁判長の顔色ばかりうかがう『ヒラメ裁判官』がいると言われている。私はそんな人はいないと思うが、少なくとも全く歓迎していない」。

 皮肉なことに、これは 町田長官に対する批判でしばしば使われる言葉だった。



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