『プライベートバンカー』その知られざる正体 清武英利(ジャーナリスト)

[ptitle]
特別レポート

ある日本人資産家の告白
「私は奴らに殺されかけた」

節税のため海外移住する富裕層の資産運用を担うプライベートバンカー。その中には超えてはいけない一線を踏み越える者もいた。近著『プライベートバンカー』でその闇を追った著者が内実に肉薄する。

カネ持ちの年寄りを狙う

 100万㌦を詐取された資産家は、バンコク・スワンナプーム空港にサンダルを突っ掛け、娘の手を引いて現れた。

 油っ気のない白髪に白いひげ。洗いざらしの半袖シャツを第二ボタンまで開けている。小学生の娘はピンクウサギの着ぐるみ風ウェアを着て、古希を超えた父親の腕にぶら下がり、無邪気にまとわりついて声を上げた。どこにでも連れていく、たった一人の肉親である。



会員の方は