週現『熱討スタジアム』第162回・特別版 「1989年の呪い」を語ろう 今週のディープ・ピープル 田原総一朗×保阪正康×後藤正治

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天皇崩御で一年が幕を開け、
美空ひばり、松下幸之助が逝った
そして、狂乱バブルが終わりを告げる

昭和は、西暦より身近だった。「元号に25を足して……」と計算していたものを、なぜか、あの'89年を境にやらなくなった。思えば、あれが日本の分水嶺だった――。

「国民的」な存在が去った

保阪:1989年は、1月7日の昭和天皇の崩御から始まった年と言ってもいいでしょう。さらに美空ひばり、手塚治虫、松下幸之助といった面々が、この世を去っている。

後藤:まさに昭和を代表する人々ですよね。

保阪:当時は天皇崩御となったら殉死者が続々出るのじゃないかと心配する声がありました。ところが実際には、和歌山県で昭和天皇と同い年であることを誇りに思っていたという元兵士が命を絶ったくらいでした。

 しかし、この年に昭和を体現する人々が次々と亡くなったことを考えると、私はどこかで、「神」が彼らを連れていったのかなとも感じるんですよ。

田原:あの頃、歌手の都はるみさんが一度、引退を宣言した。面白そうな人だったので、'89年にスタートした『サンデープロジェクト』にコメンテーターとして出てもらっていたんですね。そうしたら、美空ひばりが亡くなって特集を組んだとき、都さんがこう言った。



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