神戸連続殺傷事件・少年Aのベストセラー『絶歌』どう読むのが正しいのか

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読んで何が分かったのか 青木理×香山リカ×中島正純

酒鬼薔薇聖斗(さかきばらせいと)の手記が、波紋を広げている。「買うこと自体が不謹慎」と批判も起こる中、いまだ売れ続けている。ジャーナリスト、精神科医、犯罪の専門家が彼の「告白」をどう読み解くか語り合った。

実名で書くべきだった

香山:この手記『絶歌』は、初版10万部に増刷を重ねるベストセラーになる一方で、「こんな本は出すべきじゃない」「印税で儲けやがって」という否定的な反応が多いですね。

青木:ベストセラーになるのも無理はない面もあります。'97年当時14歳の「少年A」が、山下彩花ちゃん、土師(はせ)淳くんの命を奪った「神戸連続児童殺傷事件」が世の中に与えたインパクトは大きかった。犯行声明を発するという劇場性もそれを煽り、その後の少年法厳罰化の契機にもなりましたから。

中島:当時大阪府警の警察官だった私にとっても、最も忘れられない事件です。



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