宇能鴻一郎「官能小説」傑作選 第十二回〈太い軸で(上)〉

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今回掲載した「太い軸で」は、1980年に刊行された『女体育教師』に収められた一編。『女体育教師』は、女子体育短大を卒業し、都内の中学・高校併設校に勤め始めた女性教師が、同僚の先生やPTA会長とエロティックな関係をもってしまう様子が描かれている。

 あたし、もうすぐ、体操競技会の予選が迫ってるんです。

 で、あたし、毎日、おそくまで寒い、ガランとした体育館に残って、一人で平均台や、床競技の練習をしてたんです。

 競技会ではどっちかを選べばいいんだけれど、あたしは両方とも、得意なんです。

 ピッタリ体についた袖のある、水着みたいな体操着をつけて、鏡の前に立つ。

 さいきん、ちょっと太目になったみたい。


会員の方は