「彼らに僕は大事なことを教わりました」名医たちが涙する「忘れられない患者たち」

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「日本が誇るトップドクターが明かす」特別版

どんな医者にも、心に残る患者がいる。治療がうまくいった患者ではない。病と闘い、自らの命と引き換えに大切なことを教えてくれた名もなき患者たち――彼らの生き様が、日本を担う名医を育てた。

7歳の少女のひと言

 病室の片隅で一人、肩を震わせながらうずくまっている女の子――それが、東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授の横尾隆医師にとっての「先生」だった。

「20年ほど前、僕が研修医で小児科にいたときのことです。小児科病棟には毎日おやつの時間があるのですが、その子は、いつも15時になると姿が見えなくなる。あるとき、人に見えないところで声も出さずに泣いているその子を見つけたんです。


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