「着服」の誘惑 最初はほんの出来心だった……

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伊藤忠6億円
東レ2億円
NHK6200万円……

サラリーマンが嵌まる甘い罠

「あれ、いまこのカネを懐に入れても、誰も気づかないよな?」。その瞬間、悪魔が囁く。一歩足を踏み入れたら抜けられない着服のドロ沼。その入り口はあなたのそばにもポッカリ口を開けている。

請求書のミスがきっかけに

 取材の待ち合わせ場所に現れた元「着服犯」は、白髪の生え際に少し黒い髪の残る、温厚そうな男性だった。

「初めは、私の経理上のミスだったんですよ。ごく単純なミス……。それが30年以上勤めた会社を裏切る結果につながった。心の、弱さですかね」



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