週現『熱討スタジアム』 第129回 昭和歌謡の父 天才・阿久悠を語ろう 今週のディープ・ピープル 八代亜紀×酒井政利×三田完

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『舟唄』『勝手にしやがれ』『UFO』……
遺した作品は5000曲以上
彼が紡ぐ詞は、いまも色褪せない

この人の詞には、時代を越えて心に響く強い「言葉」があった。昭和歌謡界をリードし、不朽の名曲を生み続けた阿久悠はどんな思いを作品に込めていたのか。

この曲は絶対ヒットする

酒井:阿久悠さんは、広告代理店勤務や放送作家を経て作詞家となり、生涯で5000曲以上もの歌を書かれました。'78年以降は作家としても活躍され、直木賞候補作となった『瀬戸内少年野球団』など、いくつもの名作を上梓された。多才な人でしたね。

三田:僕はテレビ局に勤務していた'90年前後に、酒井さんを通じて知り合い、後年は阿久さんの仕事を間近で見てきました。阿久さんの作品は幅広かったですね。『勝手にしやがれ』(沢田研二)のような男性シンガーの曲から『UFO』(ピンク・レディー)などのアイドルソング、演歌やアニメの主題歌まで手がけていたんですから。

八代:私が初めて阿久先生から頂いた詞は『舟唄』でした。デビュー10周年を控えていたころで、所属していたレコード会社の社長が「阿久悠の描く『女心』を八代に歌わせたい」とお願いしたんです。阿久先生は何曲か用意してくださったんですが、どれもボツになってしまって。それで怒った先生が「じゃあこれはどうだ」と出されたのが『舟唄』だったんです。



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