65歳以上の4人にひとり、80歳以上は2人にひとり 世界中のどこも、経験したことがない社会 「認知症800万人時代」この国に何が起きるのか

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何もわからない。訳もなく徘徊する。 被害妄想に取り憑かれる。 そんな人々が街中に溢れたら
誰でも、歳を取ればもの忘れはひどくなる。「ド忘れしただけ」「自分は病気じゃない」と思いたい。だが認知症は、今もっとも身近な病気。怖いけれど、いずれ必ず直面する「現実」に向き合ってみよう。
治す方法はない
「うちのマンションに20年ほど住んでいる77歳の女性は、認知症です。10年前にご主人に先立たれてから発症したようですが、子供も親戚もおらず、一人暮らしを続けています。
最近、お金の管理ができなくなってきて、家賃を滞納しています。年金手帳をなくしてしまったらしいのですが、探すことも、再発行の手続きもしません。銀行口座も、暗証番号を忘れてしまったと言っていました。だから、お金を一切下ろせない。すでに、半年分の家賃をいただいていません」
こう語るのは、東京・大田区のマンション管理人・加瀬弘子さん(仮名)だ。古い物件で家賃が安いためか、全20室のうち7室に一人暮らしの高齢者が入居し、うち3室の住人が認知症を抱えているという。加瀬さんが続ける。


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