週現 『熱討スタジアム』第120回 『男たちの旅路』鶴田浩二を語ろう 今週のディープ・ピープル 水谷豊×近藤晋×山田太一

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特攻帰りの銀幕スターは、テレビドラマの常識を変えた

特攻隊で仲間を見送り、戦後の浮かれた世の中に背を向けた52歳のガードマン。銀幕スターが自分の境遇を重ねて演じた主人公の哀切に誰もが魅了された―。

若者に言いたかったこと

近藤:『男たちの旅路』では、主演の鶴田浩二さんがガードマンの司令補・吉岡晋太郎という役柄を演じました。吉岡は特攻隊の生き残りで、鶴田さんと同じ52歳という設定です。

山田:ドラマの第1シリーズがはじまったのが1976年。日本も戦後の経済成長を経て、豊かになっていた。吉岡のような戦中派の頑固な男には、そんな時代の風潮や、若者たちの態度が軽薄に見えて、認められない。そうした世代間の感覚のズレが、物語の背骨になっていました。

水谷:僕は当時24歳だったので、鶴田さんとは役柄通り、世代が違いました。僕は『傷だらけの天使』(日本テレビ)に出演した1年ほど後だったんですが、まだまだ若輩で、銀幕のスターだった大先輩の鶴田さんとの共演は、最初から緊張し通しでしたよ。



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