福島の子どもに「甲状腺がん」 いまの段階で、これだけは断言できる

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先週号では、子どもに甲状腺がんが見つかった福島の親たちの苦悩を紹介した。福島県はがんと原発事故の因果関係を否定し続けているが、その根拠は薄弱だ。専門家たちが「公式見解の矛盾」を暴く。

青沼陽一郎(作家・ジャーナリスト)

チェルノブイリと似ている

 日本では100万人に1~2人がなるとされる小児甲状腺がん。それが、東日本大震災から3年が経った福島県では、震災当時18歳以下だった子どもの50人に甲状腺がんが見つかり、既に摘出手術を受けている。

 その割合は6000人に1人と、チェルノブイリ原子力発電所の事故後に急増した1万人に1人を越えている。

 しかも、福島で見つかった50人の小児甲状腺がんのうち、49人が「乳頭がん」である。

 甲状腺がんにはいくつかの種類があるが、チェルノブイリでも「放射線誘発性の甲状腺がんはすべて乳頭がん」だったという。これは福島県「県民健康調査」検討委員会の座長も務め、いまも首相官邸の「原子力災害専門家グループ」に名を連ねる山下俊一福島県立医科大学副学長、長崎大学理事・副学長が断言している(『日本臨床内科医会会誌・第23巻第5号』「放射線の光と影:世界保健機関の戦略」より)。

 この現実を、どう受け止めたらいいのだろうか。



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