福島に住む母親たちの不安と憔悴「わが子が甲状腺がんになった親の気持ちがわかりますか」

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「原発との因果関係なし」と言われても……

福島で行われている県民健康調査で、続々と子どもの甲状腺がんが見つかっている。県は放射能との関係性を否定しているが、その見解は信用できるのか?現地で悩み苦しむ親たちの姿を追った。

作家・ジャーナリスト 青沼陽一郎

医者にまで叱られて…

 去年の夏休みが明けて、2学期がはじまった最初の日だった。 福島県内のある中学校3年生のクラスで、一人の男子生徒、杉山博人くん(仮名)の体調について担任の教師が説明していた。「彼は夏休み中に手術した。いまは体力がない。だから、しばらくの間は午前中で早退することになる」

 杉山くんは、甲状腺の摘出手術を受けていた。がんだった。

 2011年3月11日の東日本大震災に伴い発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、福島県では「県民健康調査」を実施している。この中で、当時18歳までの子どもたちを対象に甲状腺の検査を行ってきた。1986年に発生したチェルノブイリ原子力発電所の事故によって、小児甲状腺がんが多発したことに基づくものだった。

 その調査によって、杉山くんの甲状腺にがんが見つかった。


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