週現『熱討スタジアム』第431回 映画『桜の樹の下で』を語ろう 今週のディープ・ピープル 岩下志麻×林淳一郎×樋口尚文

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母の恋人は、私の愛人――
渡辺淳一の名作を官能的に描いた

美しくも儚い桜は、どこか禁断の恋に近いのかもしれない。愛とエロスの巨匠が描いた母と娘の愛憎劇は、圧倒的な映像美を誇る映画と共に、今も語り継がれる。

岡田茂が映像化を熱望

樋口:4月30日は、作家渡辺淳一さんの命日です。もう亡くなって8年も経つのですね。渡辺文学の映画化作品といえば、『ひとひらの雪』('85年)や『失楽園』('97年)の印象が強いのですが、岩下志麻さんと津川雅彦さんが主演を務めた『桜の樹の下で』('89年)も心に残る作品です。東映の社長だった岡田茂さんが原作に惚れ込んで映像化にこぎつけたと聞き、封切りと同時に映画館に足を運びました。



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