[巨弾ノンフィクション]丹波哲郎は二度死ぬ 第8回 『砂の器』の名場面はこうして生まれた

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大スターはなぜ、晩年に「大霊界」へ傾倒したのか

生前、丹波は身内に対して『砂の器』こそが自分の代表作だと語っていた。人の「罪」に寄り添い、命の儚さを思う。この作品で丹波が見せた一世一代の名演技は、彼の真心から生まれたものだった。

野村進(ノンフィクションライター)

早逝した妹の記憶

 丹波哲郎はなぜ人一倍、死に関心を寄せたのか。

 丹波の「身内」と呼べる人々の答えは、ほぼ一致している。

「死を人よりもはるかに恐れていたから」

 というものだ。



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