[小椋佳引退記念 特別読み物]『シクラメンのかほり』にいまなぜか胸が締め付けられる理由

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〽疲れを知らない子供のように 時が二人を追い越してゆく

日本を代表する異色の作曲家は、愛する人との出逢いと別れを、冬に咲く可憐な花にたとえた。どこまでも清(すが)しく、どこまでも淋しい。この歌が生まれて46年、いまこそ聴きたくなるのはなぜか。

切ない、でも癒やされる

「この曲を作ったのは'74年、私が第一勧銀の赤坂支店に勤めている頃でした。当時、私は歌の素材を探して北原白秋の全集を読み、現代でも新鮮に受け止められる言葉にマーカーでチェックを入れていた。『シクラメンのかほり』の中には、そんな言葉をちりばめています。あの歌は、北原白秋の詩が下敷きとなってできたものなんです」



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