[本格評伝連載スタート]丹波哲郎は二度死ぬ 第1回 ジブリ・鈴木敏夫が語る「丹下左膳」の光と影

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日本映画の大スターは、なぜ晩年に「大霊界」へ傾倒したのか
戦後芸能史とともに紐解くノンフィクション

54年に及ぶ役者人生の中で、500本以上の映画に出演してきた丹波哲郎。変幻自在の演技で日本中を虜にした男の素顔とは。スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫がその記憶を語り尽くす。

野村進(ノンフィクションライター)

スナックでの出会い

 いまは亡き丹波哲郎の取材をしている。

 友人らにそう言うと、決まって、軽い驚きのあと、困ったような、ときにはからかうような微苦笑が口もとに浮かぶ。

 そこに、丹波哲郎がわれわれの記憶に焼きつけた奇妙な残像がかいま見える。



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